光と風のなかへ & 追憶の鉄路

『平清盛』展






雪まじりの雨が降る 冷たい午後

江戸博で開催中の『平清盛』展へ行く


といっても半分仕事のようなもので

なかなか見られない文書の内容確認が主な目的だ




『平清盛』展




悪天候が幸いしてか この手の特別展にしてはすいていた

おかげでじっくりと文書を確認できたのはよかったが

『平清盛』展として見るならば 内容はやや物足りない


大河ドラマ関連の特別展といえば 生の史料をずらりと並べた

「毛利元就展」のようなレベルの高い特別展もあったが

多くはゆかりの品々をいくつか持ち寄って

テーマごとに並べただけの展示が多く

広く浅くの感じで終わっている


今回の特別展も「清盛の実像に迫る」という割には

それをうかびあがらせるような展示にはなっていなかった


たとえば日本で最初に武家政権をスタートさせたのは

清盛であることはいまや学界の常識だが

多くの人は最初の武家政権は頼朝から始まるとまだ思っている

だからこそ 清盛の武家政権とはどのようなものだったのか

頼朝の武家政権に何が受け継がれ 何が受け継がれなかったのか

そうした視点を前面に打ち出した展示があってもよかっただろう 


古文書には釈文に加えて口語訳を併記し

さらに注目箇所を矢印で指し示すなど

わかりやすい展示に努めていただけに

もう一工夫 武家政権のイメージをふくらませる展示が欲しかった


また平氏の拠点となる福原関連の展示がなかったのはなぜだろう

清盛の政権は 福原と厳島という東西の拠点に

瀬戸内海を基盤とした西国政権という性格を色濃くもつが

福原が欠け 厳島も平家納経で代表させては

後半の日宋貿易の展示とのつながりが生きてこないだろう


企画委員のなかに平氏政権の専門家がいないことに加えて

多くが美術系の研究者であることも影響しているのかもしれない

このため大河ドラマで関心をもったかたがたに

最新の成果を踏まえて清盛の実像を提示する場としては

十分に活用されてはいないのが残念なところ


視覚的なわかりやすさを求めたのか

江戸時代の屏風絵なども多数展示されているが

それはあくまでも江戸時代の人が見た源平時代であつて

当時のものではない そのあたりも説明不足で誤解を招く


このほかにも問題点がいくつも残る特別展だが

とはいえ 個々の展示作品には見るべきものも多い

一番の見所は 国宝の平家納経が一度に4巻も展示されていることか


ただし清盛の母を祇園女御の妹と記す「仏舎利相承系図」や

清盛を感じる 清盛自筆の請文(うけぶみ)

また源為朝所用と伝わる国宝の大鎧

そして治承3年のクーデターを「天下大乱」と記す『玉葉』など

見応えのある展示の多くは 今週末の22日までなので

お出かけのかたは お早めに


清盛とは直接関係はないのだが

江戸博のある両国駅は 1929年に建てられた歴史ある建物

なかは飲食店になっているが 鉄道省が建設した戦前の建物として

こちらも外観は一見の価値ありだ




両国駅



GX200
2012.1.20.撮影


関連記事

テーマ:写真日記 - ジャンル:写真

  1. 2012/01/20(金) 23:06:32|
  2. カメラ日記
  3. | コメント:0
<<音戸ノ瀬戸と「清盛塚」 | ホーム | 多摩のレッサーパンダ 10>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する