光と風のなかへ & 追憶の鉄路

『レッドクロス 女たちの赤紙』の印象 03






TBSテレビ60周年企画番組 『レッドクロス 女たちの赤紙』

視聴率は 第一夜が8.2% 第二夜が10.7%

松嶋菜々子を起用しながら この数値

戦後70年もたつと 戦争ドラマは敬遠されるのか

しかし 『永遠の0』は 13.2%と比較的高い

特攻隊は それだけ関心が高いのだろう


映画の『永遠の0』は 原作にあった陳腐な部分をそぎ落とし

メッセージ性を強めたことから 原作にくらべればまだましだったが

原作者が歴史に無知なこともあって 設定からしてありえない

そればかりか 特攻は拒否できる 強制ではなかったという

誤ったイメージを広げてしまう恐れがある

特攻は軍が作戦として実施されたものである以上

型式は志願 されど実質は強制である

いうまでもなく 軍隊は命令に絶対服従だ

下士官クラスで拒否することはありえない


また 零戦ばかりが特攻機ではない

すでに一線を退いた旧式の航空機や練習機で

特攻を命じられたものたちがいたことを忘れてはならない

そのひとり 後藤光春少尉は 遺書にこう記して出撃していった


完全ナル飛行機ニテ出撃致シ度ヒ


効果が全く見込めない飛行機で なぜ特攻を命じたのか

そこを考えることで 特攻の本質が見えてくる

特攻の映画を作るならば 零戦では駄目なのだ


この問題は また別の機会の時に書きたいが

特攻隊として出撃しながら エンジン不調で引き返した

桑原敬一(当時19歳)の言葉を 紹介しておこう


率直に言うと 特攻待機の日々はもちろんのこと 出撃を命ぜられたとき

さらに発進して沖縄を目指すとき それぞれの過程に味わう苦しみ

その状態を言い表すことはとてもできないことである

多くの人は 外面を見て淡々として征ったとか 笑顔で征ったとか言うが

それは慰め言葉であって けっして真実を伝えていない

特攻出撃はそんな淡泊なものではない

生きとし生ける者が 生死について

もう一人の自分との果てしない抗争という地獄を体験したうえで

どうにもならない諦めの心境で 最後の修羅場へ飛び込んでいったのである

そういう人が多かったことをぜひ知っておいてほしい

(『語られざる基地・串良 生還した「特攻」隊員の告白』文春文庫より)


桑原敬一の証言は 昨年10月

映像とともに朝日新聞デジタル版でも紹介された

http://digital.asahi.com/articles/ASGBM02JJGBLTIPE01V.html
http://digital.asahi.com/articles/ASGBN5VT7GBNTIPE046.html




『レッドクロス』も ツッコミどころは多々あるが

大筋は 史実をふまえながらドラマが展開する

とくに日中の近現代史を知るきっかけとしては良い作品だ

なかでも 残留孤児と朝鮮戦争をからませたのは 新しい視点だった

もしかしたら このモデルは 満蒙開拓義勇軍に参加し

その後 八路軍の少年兵士となって 朝鮮戦争にも参加した山口盈文か

山口盈文『僕は八路軍の少年兵だった』光人社NF文庫

ここは専門外なので すでに研究はあるのかもしれないが

これからの残留孤児の研究は 戦争被害にとどまらず

朝鮮戦争にまで視野を広げていく必要があるかもしれない


そうした点を踏まえて ドラマで気になった点をいくつか記しておきたいが

前期試験の成績入力の日が迫ってきたというのに

まだ大量の答案が残っている

このため ここからさきは また次回ということで

成績入力を終えた 週末以降に記すことにしたい


最後に YouTubeにあったTBS公式『レッドクロス』

第一夜のダイジェスト版を貼り付けておこう

第一夜は 先日も記したように 演出に疑問も多いが

ラストの母と子の別れは 見ていてとてもつらい

ただ ここは 蒸気機関車でなければ 盛り上がりに欠けただろう

少しずつ早まるドラフトの響き 白くたちああがる煙

電気機関車はもちろん ディーゼル機関車でも ここは絵にならない

やはり 別れのシーンは 蒸気機関車に限る

別れのシーンは 15分30秒からとなる

笑っているエキストラたちがなんとも残念だが









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