光と風のなかへ

追憶の鉄路 悔し涙の塩狩峠






夜更けすぎに 雨は雪へとかわるらしい

寒いわけだ カバンを持つ手がかじかむ

吹雪のなかでも 線路端で立ち尽くせた10代の頃とは

さすがに耐寒性能が大きくダウンしている


もっともあの頃も 寒さのなかうちひしがれたことがあった

あれは酷寒の土地 宗谷本線 塩狩峠での出来事

ドラフトが聞こえ いよいよ来るぞ と待ち構えていたところ

どうもおかしい エンジンらしき音も聞こえてくる


もしや と思った不安が的中 カーブから姿をあらわしたのは

赤いディーゼルのデデゴイチたった ヤツが前についてきたのだ!




蒸気機関車 宗谷本線




このときのショックは 蒸気を追いかけていた仲間ならわかるだろう

夏場ならともかく 真冬の塩狩峠でのことだ

カーブから姿が見えたら 135ミリで狙う予定が いっきに萎えた

それでもモノクロを入れた もう一台のサブカメラで撮影を続ける

しかし シャッターを押す気力はすでに失せていた

小刻みに親指を回転させる 得意の連写もしていない




蒸気機関車 宗谷本線




このとき 赤い機関車の後ろにいる本務機は C55だった

彼を狙うために 雪のなかをずっと待ち続けていたのだ




蒸気機関車 宗谷本線




しかし ショックは これで終わらなかった

眼の前を通り過ぎる機関車を見て 思わず声をあげた!

なんと 会うことを楽しみにしていた トップナンバーではないか

慌てて機関車を追いかけるように 135ミリを向けた

ピントをあわせる余裕もなく 構図なんか考えていない

とにかく ナンバープレートだけは撮っておきたい ただそれだけだった




蒸気機関車 宗谷本線




汽車が去ったあとは悲惨だった いっきに寒さが襲ってきた

駅に戻る足取りは重く そこに機材の重さが加わる

44年もむかしのことなのに いまだに忘れられない

そのためだろう 我が家の機関車コレクション

いまだにデデゴイチだけは 入線していない 




minolta
宗谷本線 塩狩峠
1971年(昭和46)1月6日.撮影

関連記事

テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2016/01/30(土) 00:09:23|
  2. 追憶の鉄路 C55
  3. | コメント:8
<<江ノ島のトビ 01 | ホーム | 江ノ島の猫 02>>

コメント

怒りの遭遇

まこべえさん、こんばんは。

現役蒸気を撮られていた方は、皆さん同じような経験を何度もされているはずです。
八高線末期には、一日頑張って蒸気が2本しか撮れず、あとは全部デデゴイチ何てこともありました。
雪の米坂線手ノ子で、客レをDE10が引いてきたときは、ショックでしたね。
サロベツで待ち構えた最果鈍行の牽引機そのものがDD51何てこともありました。
その時はさすがに唖然として正面撮りはできず、後追いを一枚撮るのが精一杯でした。
不意打ちのDDとの遭遇時の、あの怒りを通り越した脱力感は、同業者にしか解らないものでしょうね。
それにしても、赤ブタ君は我々から可哀想なくらい嫌われていましたね。
その後の凸型DDファンの方々が聞いたら、怒られてしまいますね。
当然、我が家のコレクションにもDD51はおりません。何故か16番のDE10はおります。(笑)
  1. 2016/01/30(土) 01:00:01 |
  2. URL |
  3. こあらま #Yi3yfv0E
  4. [ 編集 ]

トップナンバーを見ると嬉しいらしいですね〜。
しかし、寒い中をじっと待ち続けて裏切られたショックは大きいでしょうね。
ドキドキする瞬間のために寒さにも耐えられるものでしょうから。
オレンジのディーゼル機関車のことをデデゴイチというのですか?
  1. 2016/01/30(土) 06:51:07 |
  2. URL |
  3. エリー #-
  4. [ 編集 ]

こあらまさんへ

こあらまさん、コメントありがとうございます (^^)

いまは、たいへんな人気のデデゴイチですが、あのころは天敵扱いでしたね。
これが来ると「怒りの遭遇」ーまさにその通りでした。
それが、手ノ子だったら、なおさらショックは大きかったでしょう。
あそこの雪はすさまじく、ホワイトアウトに遭遇したときは、どうしようかと思いました。
そんな豪雪地帯で、予告なしにデデゴイチがやってきたら、たしかに怒りを通り越して、脱力感しかなかったでしょう。
帰りの足取りは、さぞや重く、つらいものだったと想像されます。

蒸気も末期になって各地で協調運転がはじまると、ある程度は覚悟して撮影地に出向いたものですが、はじめの頃は情報も少なく、この不意打ちには、ずいぶんと悩まされました。
このためか、デデゴイチを見ると、あの頃の怒りと脱力感が甦ってくるんですよね。
このあたりが、いまだにデデゴイチをコレクションに加えていない大きな理由かもしれません。
しかも、こあらまさんも入線させていないことを知り、同じような思いをいだいている当時のファン、意外と多いのかな、なんて思ってしまいます。

それでも、DE10は、我が家にも入線しています(^^)
DE10も、協調運転をしていたので、デデゴイチと同じ境遇だったはずですが、天敵呼ばわりはされていませんでしたね。小型だったからでしょうか。
これに対しデデゴイチは、これからは俺さまの時代だぞ!と言わんばかりの調子で、先頭を走ってきましたからね。
しかしそのデデゴイチも、いまでは追われる身。時代の流れを感じます。

ところで、先日、こあらまさんのブログで紹介されていた奥さまが作ったアップルパイ、とってもおいしそうでした!
実は、私、子供の頃からアップルパイ、大好きなんてす。今度、ごちそうしてください(^^)
  1. 2016/01/30(土) 18:22:27 |
  2. URL |
  3. まこべえ #2XsKFzVg
  4. [ 編集 ]

エりーさんへ

エリーさん、コメントありがとうございます (^^)

1号機は、その機関車の代表のようなものですから、出会えた時のうれしさは、他番号の機関車とは、やっぱり違います。
ファインダーのなかで近づいてくる機関車が、トップナンバーだとわかると、つい、「やったあ! トップナンバーだ!」と、声をあげていましたからね(^^)
だから逆に、ディーゼル機関車が前についてくると、とってもショック!
このあと、何度も出会うことになるのですが、この時は最初の出会いだっただけに、なおさらショックでした。

なお、オレンジのディーゼル機関車がデデゴイチではなく、赤い凸型のディーゼル機関車のうち、写真に写る「DD51」という型式の大型機関車を、ファンは、デデゴイチと呼んでいます。
当時は、蒸気機関車にとってかわる新鋭の機関車だったので、蒸気ファンからは、天敵よばわりされて、それは嫌われていました。
それが今では、一番人気の機関車になっているのですから、オールドファンから見ると、不思議なものです。
  1. 2016/01/30(土) 22:30:50 |
  2. URL |
  3. まこべえ #2XsKFzVg
  4. [ 編集 ]

こんばんは

WOW!雪の宗谷本線での迫力あるお写真、抒情も豊かに、雪中を走る力強さ、そして孤独さ、厳しさ、がにじみ出ていて、ただただ感嘆です。最後の雪煙と蒸気(?)の一枚、いいなぁ!私なんか、佐原で、車輪に蒸気がもうもうとして走り出すところを、「これをどう撮ろうか?」なんて逡巡しているうちに、あっという間に走り出てしまいましたよ(笑)まこべえさまのお手本にしますね(だからと言って、次回ちゃんと撮る自信はありませんが)。おっしゃっていた、煙の高さについて、お写真を見てよくわかりました。パーフェクトな構図ですね!こうした写真を撮るまでの雪の中での忍耐やご苦労、それがあっての傑作なんですね。素晴らしいのを掲載してくださいまして、本当にありがとうございます。
  1. 2016/01/31(日) 22:20:26 |
  2. URL |
  3. Sapphire #-
  4. [ 編集 ]

Sapphireさんへ

Sapphireさん、コメントありがとうございます (^^)

そのうえ、中学三年生の冬休みに撮影した稚拙な写真に、過大なるお誉めのお言葉をいただき、お恥ずかしい限りです。
このころは、免許もないため、重い機材を担いで、ただひたすら雪のなかを歩き、汽車が来るまで、じっと待ち続けて撮影にのぞみました。
熱きぬくもりは、機関車に逢いたいという思いと、ポケットに入れたハクキンカイロだけ。
いまでは、とてもできない10代だから出来た芸当です。
しかし、機材も、腕も未熟だったこともあって、出来上がった写真に納得できないことも多く、今度はここを、こう撮ろう、つぎはこの角度から撮ろうと、試行錯誤を繰り返しながら撮影を続けていたのも、今では良き想い出です。

このときも、はじめて訪れた土地で右も左もわからないまま、開けた場所を探して線路端をうろうろしたのですが、雪が多く、なかなか思い通りの場所が見つからない。
そんななか、ちょうどよいカーブをあったので、そこを135ミリで狙い、近づいたところを標準レンズで狙おうと準備していました。
ところが、なんとディーゼル機関車が前についてきてしまい、撮影する気力が一挙に萎えてしまいました。
最後のカットも、あっ、トップナンバーだ!と気がついて、慌てて135ミリで撮影した一枚。
AFなんかない時代でしたから、ピントもはずしていますが、雪煙と蒸気のおかげで、少しは見られる写真になりました。
こんな失敗を数え切れないほどして、今日に至っています。

なお、Sapphireさんが撮影された佐原発車のシーンで、車輪のほうにはき出されたもやもやした蒸気は、ドレーン(drain)といいます。
シリンダーに溜った湯水を蒸気の圧力で排出して起きた現象です。
煙突から高々とあがる煙、そしてコックを開いてはきだされるドレーン、この両方が見られるのが発車のシーンです(ファンのために演出としてドレーンをはくこともあります)。
これが恰好よく撮れると、また蒸気機関車に逢いに行きたくなり、いつのまにかSapphireさんも、鉄子になっているかもしれませんよ(^^)
春には、京都に鉄道博物館がオープンし、手軽に蒸気機関車の走行シーンを撮影できるようになりますから、関西に帰られたときにでも、ぜひお出かけください。
私も、10代の時に一緒にすごした機関車たちとの再会を今から楽しみにしています。





  1. 2016/01/31(日) 23:55:07 |
  2. URL |
  3. まこべえ #2XsKFzVg
  4. [ 編集 ]

たくさんの貴重な情報、ありがとうございます。drain っていうのですね。一つ賢くなりました。
京都に鉄道博物館が開館なんですね。一度、訪ねてみようと思います。ありがとうございます。
  1. 2016/02/01(月) 17:22:00 |
  2. URL |
  3. Sapphire #-
  4. [ 編集 ]

Sapphireさんへ

Sapphireさん、わざわざの返信、ありがとうございます。

ト゜レーン(あるいはドレイン)、排水するという意味ですから、原語の意味、そのまんまですよね。
京都鉄道博物館は、4.29オープンなので、GWは、すごいことになりそうです。
もと梅小路蒸気機関車館があった場所です。
http://www.kyotorailwaymuseum.jp/
オープン時は、写真なんか撮れないほどの混雑かもしれないので、私は、少し時期を遅らせて、仕事で上洛したついでに立ち寄る予定です。
鉄博に行くのがホントの目的で、仕事はそのついで、というのは、ここだけの話です ^^;

  1. 2016/02/01(月) 22:56:42 |
  2. URL |
  3. まこべえ #2XsKFzVg
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する